自社の脅威と代替品を明確にする(小規模事業者向け)
日本は高度に成熟し、それぞれの市場では同業の競合みならず代替品からの脅威にもさらされています。
「スターバックスコーヒーの競合先は同業のカフェのみならず、むしろリラクゼーションサロンだったりする」
という趣旨のことを、どこかのwebで同社の社員様がおっしゃっているのを読んだことがあります。
私はとんと頭が悪い人間で、20代は低価格路線を突っ走っていました。
頭が悪いなりに、愚かですが愚かなりに誠意や熱意を持って「安くて良いサービス」を目指していました。
それが競合に対しての差別化・比較優位を実現するんだって信じていました。
その中で痛感したことがあります。
価格を下げて利幅を抑えても、背負うリスクやクレームの発生率、顧客が求める水準はそれほど下がりはしないということです。
価格が安いからといってミスが許されるわけでもなく、また、偶発的に起こった不具合にも当然のことながらコストと時間をかけて対処する必要があります。
今でもまだ内職などに依頼して1桁違うような低い人件費率で商売をしてしまう事業が一部に成り立っているようですが、残念ながら世界一人件費の高い日本において、こういった商売はジリ貧だと思います。
今この文章を書いているのは2012年秋です。これから更に国内市場は縮小し、価格下落は止まらないと思います。
利益を確保するどころか、
今日明日の資金繰りを確保するために赤字覚悟の価格競争も中小企業では起こります。
競合は、銀行に借りたお金を切り崩して延々と赤字を出し続け、更には従業員の賃金の未払いまで起こしながら、最後は倒産するまで市場に居残ります。
価格競争がレッドオーシャンで激烈になるのは、こうした捨て身の戦法と真っ向から戦う必要があるからでもあります。
価格戦略では脅威からも代替品からも逃れることはできません。
ですから私たちは
「競合とは客層や訴求ポイントをズラす」
という単純なことからでも良いので、それを自社の経営資源を俯瞰しながら考える必要があると思います。
自社が顧客に対し、本質的に何を提供しているのか?
顧客との関係のみならず、供給元や代替品も合わせた大きな枠組みで、自社の力はどのように作用しているのか?
それを考えるひな型としてファイブフォース分析は使い勝手がよいと思います。
私たちのような小規模事業者にとってはシンプルで分かりやすい図となります。
商売をしていると、忙しくてどうしても近視眼的になってしまいがちですが、自社の正しい立ち位置を月に1度は思い出したいものです。
自戒を込めて。
平成24年9月12日
吹上経理支援
代表 日高 大輔