採用難時代における人材確保としてのM&A (中小企業向け)
2017年、日本経済は人不足が深刻との報道をよく目にします。
ただ、今に限らずいつの時代でも中小企業、なかでも成長企業においては人不足が深刻です。
戦える人材・価値を生み出せる人材との出会いにおいては労働市場の動向とはあまり関係がないように思いますがいかがでしょう。
さて、今回はそんな採用難時代の「人材確保としてのM&A」というテーマのお話をさせて頂きます。
あくまでも中小企業においてのお話です。
2010年代に入って、私たちを取り巻く市場の変化は更にめまぐるしく、息の長い事業やサービスを見つけ出すことはとても難しい時代になっているように見受けられます。
にもかかわらず、中小企業では採用が難しい一方で安易に解雇も行なえず、中小企業においてはこれが旧来型産業からの新陳代謝を阻害し、雇用の固定化が起きてしまっていると思うのですがいかがでしょう。
中小企業で長く働く人の中には(中小企業が定義する)優秀な人がたくさんおられますが、そういった人はなかなか採用市場に出てくることはありません。
というのも、誠実で我慢強い中小企業の社員様は、そうそう転職しないからです。
長く働ける社員様は直属の上司である社長との個人的な信頼関係もあり、企業側もなかなか手放しません。
こうした優秀な人材をいかに外部から自社のもとに手繰り寄せるか。
その命題の答えのひとつが中小企業におけるM&Aになると思いますがいかがでしょう。
例えば、正社員10名程度の小企業をM&Aで引き受けるとします。
【1】M&Aによる買収コストと、
【2】M&Aに頼らず10名程度の正社員を確保するための採用コスト、2年程度の研修コスト
この2つを比較すると、採用難の昨今は、【1】の方がコストが掛からないケースが出てくるように思います。
M&Aのリスクの1つに、労務に関するリスクがあげられます。
なかでも、戦力になりにくい人材をM&Aで引き受けることは大きなリスクで、これに強い抵抗をお感じの企業が多いように見受けられます。
M&Aの買い手希望の企業様からは、借入金の大きい企業と人材に問題を抱える企業についてはたとえお金をもらったとしても受け入れたくない、という声をお聞きします。(当たり前ですよね)
M&A成立後は、買い手企業は売り手企業の人材について冷静で厳しい決断を迫られるように見受けられます。
たとえ小企業でもM&Aの交渉は一筋縄ではいきませんが、買い手企業としては、売り手の事業内容に固執せずに「中小企業に眠っている我慢強く誠実な社員を迎え入れる」という、人材確保の手段としてのM&Aを検討することも経営判断の1つとして十分考え得ると思われますがいかがでしょう。
2017年10月13日
吹上経理支援
代表 日高 大輔